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イメトレ、自己啓発、エンターテインメントからギャンブルまで。


by takaichiarata
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予告どおりオカルト話を書こう

 私はいままでに2度ほど、霊的な現象を体験している(と、自分では認識している)。

 これは、その最初の体験、私がまだいたいけな少年だった頃のおはなし。あ、どこが「いたいけ」じゃ、と、つっこまないようにね。こう見えても私は、白面の美少年だったのです。自称だけど。

 17歳の秋。私は通学途中の電車の中で他校の生徒とちょっとしたもめ事を起こしたのが高校にバレて、その年2度目の「しばらく学校に来なくていいからね。家でおとなしく反省していなさいね」という、先生たちからのヤサシイお言葉をいただき、もめ事で負った顔のキズと身体の打撲の痛みにヒイヒイ言いながら、自室でタバコをぷかぷかふかしつつ、カーペンターズなんか聞いちゃって、ヒマをもてあましていた。
 その頃の私は、大学に進学したいなあ、という気持ちが強まっていた時であったが、何しろ高校入学以来、通算3度目の停学という不名誉な出来事を起こしたばかりであったし、3度目ともなれば、学校としてもちょっとやそっとじゃ復学させるわけにはいかない、ましてや大学進学のための内申書だって、最悪のものになることは、これはもう、誰が考えても間違いないことであって、いくらボンクラでバカヤロな私の頭でも、そのくらいは理解できたものであった。ま、いいや、どうでもいいや…という投げやりな気持ちが、その時の私にはあった。

 深夜。私は窓を開け放し、聞こえてくる虫の音に耳を澄ませながら、真っ暗な外をぼんやりと眺めていた。なにしろそこは田舎だったので、深夜ともなると、のっぺりとした闇の中に、月明かりにぼんやり照らされた田んぼや畑しか見えず、外を眺めていても面白くも何ともないのだが、窓を開けて気怠い体勢でタバコをふかすのはちょっとカッコイイ、という間違った認識を当時の私は持っていたので、何も見えなくても、とにかく窓を開けてタバコを吸うのだ、気怠そうに窓の外を見るのだ、そうだ、それがカッコイイのだ、…と、その時の私も、自意識過剰に気取りながら物思いにふけっていたのであった。
 部屋の中の電気は、つけたままでは、ちょっとばかり気分も出ないので(何の気分かよく分からないが)、部屋の電気を消した。
 大学を受験するのなら、あと数カ月しか残されていないので、本気で勉強に取り組まなければならない。しかし、いまはこのテイタラクぶりなので、果たして、本当に受験することができるのだろうか、いや、それ以前の問題として、高校をちゃんと卒業できるのだろうか…などと、やってしまったことに対する後悔と、自分のケンカっぱやい短気ぶりに対するカナシミの気持ちが混じって、ただボーゼンとしているばかりであったのである。

 私がタバコを吸うたびに、手元でタバコの先の火が、大きくなったり小さくなったりする。窓の外の闇と、部屋の暗さが溶け合っていくのを、私は感じる。しばらくすると、目が闇に慣れ、ぼんやりと視界が開けてくる。私はタバコの火を消した、

 その時、私は背中に、なにかを感じたのである。
 部屋の中を振り向く。
 すると、そこに、ぼやーっとした白いものがあった
 そう。あった、としか言い様がないのだが、部屋の中央に、ちょうど人間の大きさのなにかが、白くぼんやりとあったのである。動くこともなく、ただそこにある、という感じだ。浮いている、という感覚とは、ちょっとニュアンスが違う。とにかく、白いものが、あった、のである。
 それは、私を見ていた
 白いぼやーっとしたものにしか見えないのに、どうしてそれが私を見ていると分かったのか、と、問われても答えようがないが、私は、
 「あー、なんだか俺を見ているなあ」
 と、感じたのである。
 その時、思い出した。
 「今日は、オヤジの命日じゃないか」
 と。
 そして、私は、その白いものが子供の頃に亡くなった私の父親だと、瞬間的に認識したのであった。もちろん、これは、私の主観的な認識である。だが、そう思った時、私は、なんだかじんわりとした暖かさを感じたのである。
 何故か、泣けてきた。
 そして、その白いものは、唐突に消えた。
 あとは、また、闇だけが残った。

 私は、しばらくその暗闇の中で、いままで白いものがあった場所を、じっと見ていた。父親のことは、あまりにも私が小さい頃に亡くなったので、ほとんど記憶にない。だが、父親がいまそこにいた、という不合理で不条理な認識は、私のようなバカ息子でも、父親にとってはこの世に残した未練だったのかもしれないなあ、という、私にしてはまともな考えを植え付けたのである。

 私は、やっぱり大学に進学しようと考え、無事高校も卒業でき、実際に受験に臨むこととなった…のだが、残念なことに、現役合格に失敗し、浪人生活を送ることとなったのである。そして、なんとか入学できた大学も、ツマンネエナア、の一言で中退するはめになり、バカ息子は、いつまで経ってもバカ息子を発揮しつづけるのであった。

 父ちゃん、スマン。


※まあ、これが、霊的体験かどうかは微妙なところだし、よく考えれば合理的な説明もできるのだが、私としては、あれはトーチャンだった、と、思っていた方が、何となく楽しいので、ここであえて、合理的説明はいたしません。てなわけで、次回は、「私の霊体験パート2」をお送りいたします(笑)。これは、ちょっとコワイ。お楽しみに。
by takaichiarata | 2004-09-25 08:47